日本で探している一本に、バルセロナなら出会えるのか。夜19時ごろ、グラシア通りのロレックス正規店で順番を待ちながら、今回はモデルを具体的に挙げて話を聞こうと考えていました。
バルセロナは、スペイン北東部の地中海沿岸にあるカタルーニャ州の州都です。建築や街歩きで知られるこの街で、サンセバスチャンに続いて正規店を訪ねました。
私自身は、日本の予約枠でGMTマスターⅡ Ref.126710BLNRを購入した経験があります。その経験を持って聞く現地の説明は、どう違うのか。店員との会話では、待ち年数だけでは見えてこない購入の条件が浮かび上がりました。写真とともに、質問から試着までの流れを紹介します。

19時ごろ、店前で待った順番は3組目
訪問したのは、グラシア通り75番地の「ROLEX BOUTIQUE TOUS – PG75」です。店前では私が3組目。順番を待つ間、建物に沿ったショーウィンドーを見て回りました。

確かめたかったのは、展示の時計を買えるかどうかに加えて、希望するモデルを伝える仕組みがあるのか、旅行者もその対象になるのかという点です。
私が店にいた時間帯には、見ていた範囲で時計を購入した客はいませんでした。これはその時間帯の観察であり、一日の販売数を確認したものではありません。店の様子だけで結論を出さず、実際の案内を聞いていきます。
GMT、デイトナ、コンビ。モデルを挙げると話が深まった
対応してくれた店員は親切でした。在庫を尋ねて終わるのではなく、こちらの質問に沿って、モデルごとの事情や販売の考え方を説明してくれました。
尋ねたのは、ステンレスのGMTマスターⅡとデイトナ、コンビのGMT、ターコイズやメテオライトのデイトナなどです。話を聞くうちに、「何年かかる」という数字だけでは事情を正しく理解できないことが分かってきました。
同じ年数でも、案内までの目安なのか、リストの受付を止めている期間なのか、入荷の頻度なのか。何を表す数字かによって、旅行者が受け止める意味は大きく変わります。
何年待つかを聞く前に、登録できるかを確かめる
GMTなどの人気モデルのウェイティングリストについて尋ねた流れで、スペインに住んでいる必要がある、という趣旨の説明がありました。今回話題にした人気モデルの待機登録については、スペイン在住者が対象という案内でした。
日本からの旅行者にとっては、待ち期間より先に確認すべき条件です。たとえ年数の目安を聞けても、自分が登録対象でなければ、同じ道筋で購入を待つことはできません。
一方、コンビや金無垢では、リストを使わずに案内できるものがあるという話もありました。したがって、「現地在住者以外には、どの時計も販売しない」と一括りにはできません。今回確認した居住条件は、会話に出た人気モデルのウェイティングリストに関する説明として受け止めています。
GMTの「2〜3年」とデイトナの「約5年」は意味が違う
店員から聞いた数字を、何についての説明だったかと合わせて整理します。いずれも訪問時の会話の要旨で、現在の在庫や将来の購入を保証する数字ではありません。
| 話題にしたモデル | 訪問時に聞いた説明 | 数字の意味 |
|---|---|---|
| GMTマスターⅡ | 2〜3年という話 | 待ち期間の目安 |
| レディデイトジャスト | 仕様によって半年〜2年ほどの場合 | 文字盤や組み合わせに応じた待ち期間 |
| ステンレスデイトナ | 新規登録を受け付けない状態が約5年 | 受付を止めている期間 |
| デイトナ ターコイズ | 年に1本という趣旨 | 入荷の少なさ |
| デイトナ メテオライト | 1〜2年で1本という説明 | 入荷の少なさ |
特にステンレスデイトナの「約5年」は、これから5年待てば購入できるという話ではありません。希望者が多く、新たな待機登録を受け付けていない状態が続いている、という説明でした。
ターコイズやメテオライトも、示された期間を待てば自分の順番が来るという案内ではありません。入荷の頻度と、個人が購入できるまでの期間は別です。ここを混同すると、現地で聞いた情報が、実際とは違う購入の期待に変わってしまいます。
また、会話では月初の入荷にも言及がありました。ただし、特定の日に希望モデルが届くことや、月初に訪れれば購入しやすいことまでは確認できていません。訪問日を決める攻略法としては扱わず、今回聞けた説明の範囲にとどめておきます。

マルチカラージュビリーモチーフ41を腕に載せる
販売の話に加え、今回の訪問には実物を楽しめる時間もありました。展示されていたオイスターパーペチュアルのマルチカラージュビリーモチーフを試着させてもらえたのです。
36と41が並んでおり、どちらも試着できるとのことでした。私は41を選びました。日本で私が見てきた範囲には、展示だけで試着できない店や、展示自体がない店もあったため、この機会はうれしく感じました。

多彩な文字が組み合わされたダイヤルは、写真で見るより、実際に腕に載せたほうが美しく感じられました。色の見え方やサイズ感を自分の腕で確かめられることにも、店を訪れる価値があります。
ここでいう「ジュビリーモチーフ」は文字盤の意匠を指します。試着できたのは展示品であり、その個体を販売してもらえるという案内ではありませんでした。購入の可否と、実物を確かめられた体験は分けて受け止めています。
日本で126710BLNRを購入した私には、どう見えたか
日本の予約枠で126710BLNRを購入した自分の経験と照らすと、私には今回のバルセロナの店のほうが、希望する人気モデルの購入は難しそうに感じられました。
理由は、当日の在庫だけではありません。人気モデルの待機登録には居住条件があり、GMTでは年単位の待機が話題になり、ステンレスデイトナは新規登録の受付を止めているとの説明がありました。短期旅行の中で、自分が購入へ進める具体的な道筋を描きにくかったのです。
これは、日本とバルセロナ全体の購入難易度を比較した結論ではありません。私の国内での購入経験と、今回の訪問店で受けた案内を比べた感想です。それでも、日本で継続して相談でき、案内を受けた際にも対応しやすいことの強みを、改めて感じました。
サンセバスチャンと同じスペインでも、聞けた説明は違う
サンセバスチャンの訪問店では、普段からの顧客を先に案内し、具体的な待ち期間は示せないという説明を受けました。今回のTOUSでは、人気モデルの登録対象や、モデルごとの受付・入荷事情を聞けました。
どちらも一店舗を訪問して得た情報です。片方で聞いた条件を、もう片方にも当てはめることはできません。同じスペインの正規店というだけで共通ルールを想定せず、自分の希望する仕様と滞在条件を伝えて確認することが大切だと感じます。
海外で相談するなら、「在庫はありますか」の先に、旅行者も希望登録できるか、案内はどう届くか、購入が確約されるのか、受け取り条件は何かを聞きたいところです。待つ年数だけでなく、自分が実際に利用できる仕組みかを見る。その視点は国内の店舗選びにもつながります。
最後の「ありがとうございます」と、今回持ち帰った答え
帰り際、店員は日本語で「ありがとうございます」と見送ってくれました。販売の条件を丁寧に説明し、質問を受け止め、試着にも対応してくれたことは、好印象として残っています。

今回の店を、ステンレスのGMTマスターⅡやデイトナを旅行中に気軽に購入できる穴場とは捉えられませんでした。一方で、親切な対応の中で、人気モデルにたどり着くまでの条件を具体的に聞けたことは大きな収穫です。
海外で時計を探すなら、在庫だけでなく「自分が案内の対象になるか」まで確かめる。今回、現地で得た情報の中で、日本から購入を考える方に特に伝えたいのはこの点です。
バルセロナへ足を運ぶ機会がなくても、会話と試着の写真が、ご自身の次の一本を考える材料になればと思います。国内での店舗選びはロレックスマラソンの戦略、試着した文字盤を含む候補選びは次に狙いたいロレックス3候補で紹介しています。
取材対象:ROLEX BOUTIQUE TOUS – PG75/Paseo de Gracia 75, 08008 Barcelona。写真・会話記録は筆者によるもので、会話は要旨を日本語化しています。店員の説明は訪問時点の情報、接客や購入難易度は筆者の感想です。バルセロナの他店、スペイン全土、他国の販売ルールを示すものではありません。ロレックス公式の店舗案内。


コメント